2019年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

2019年4月 9日 (火)

セルゲイ・カスプロフ演奏会

そしてトッパンホール「異才たちのピアニズム」シリーズ第6弾がこちら。
今年の2月に行ったのにすぐに書かなかったのは、イマイチわたくし好みではなかったからなのでした。正直者。
でも忘れないうちに書いておくべ。

異才度ではこの人の方がバルナタンより上を行っているな~。
私にはついていけなかったというだけのことだと思う。まあ、好みの問題なのであまり気にしないでください。
プログラムもバルナタンと似ていますね。

レイエ◆ハープシコードまたはスピネットのためのレッスン第1巻 より
    「アルマンド」「クーラント」「ジーグ」
レイエ◆ルネサンス第2集 より
    「サラバンド」「ジーグ」
ラヴェル◆夜のガスパール
  -休憩-
ムソルグスキー◆歌曲集「死の踊り」より「セレナード」
ムソルグスキー◆はげ山の一夜
ムソルグスキー◆展覧会の絵

最初の2曲は結構いいなと思ったのですが、ラヴェルからちょっと合わないなと感じて、後半は修行(苦行とまでは言わない)している気分になっちゃった。
「はげ山」「展覧会」は特にきびしかったなあ。無理にピアノ1台で演奏しなくてもいいんじゃない?とつくづく思ってしまった…オーケストラでやろうよ。「はげ山」はまだしも、オリジナルがピアノ独奏曲である「展覧会」でさえそう思わされてしまったよ。
テクニックがあるのは間違いない。ミスタッチするかもとヒヤヒヤさせられることはない。けど、音がでかいというか耳をつんざくというか、この人が持っている一番強いフォルテがとがりすぎてつらい。最前列で聴いているというのを差し引いてもうるさすぎた。
小さい音はいいんですよねえ。いろんな音色のひきだしを持っていて。でもガンガンやられすぎてそっちの印象で塗り固められてしまった。
選曲のセンスなどはおもしろいなと思うけれど、やっぱり合わないとしか言いようがないか。
あっ、ピアノ協奏曲だったらいいのかもって可能性が微粒子レベルで存在…

2019年4月 8日 (月)

イノン・バルナタン演奏会

昨年のコンサートの感想です。
●2018年6月26日●

ピアノ独奏の公演は少ないというトッパンホールが、昨年から「異才たちのピアニズム」というシリーズを始めました。
で、これはシリーズ5人目の公演です。
全然知らない演奏家だけれど、トッパンホールの目利きを信じて行ってみた。
ちょうどこのころの私は、ラヴェルの『夜のガスパール』にはまっていて、いろいろな演奏家で聴き比べていたところだったので、一番のお目当てはもちろんその曲。
プログラムの最初に演奏した『ベルガマスク組曲』ももちろん好きだし(第1曲「プレリュード」が一番好きで弾いてみたいとも思っているので聴くときはとても集中する。他の3曲は自分で弾こうとは思わないが聴くだけなら大好き)。

プログラム
ドビュッシー◆ベルガマスク組曲
アデス◆ダークネス・ヴィジブル
ラヴェル◆夜のガスパール
ムソルグスキー◆展覧会の絵

結論から言うと、やはり「異才」枠なだけあっておもしろい演奏でした。予定調和的ではなかった。
入りかたからして、私が思い描いているものとは違うんだから。まず「あっ」と思わせられるので、その先もずっと注目してしまう。
とは言っても奇をてらった風ではないので、ある意味おだやかな音楽でもあるんだけど、聴きなれたよくある名曲でもなかったというわけです。

ドビュッシーの次に演奏した現代モノ、良かったです!
やはり現代音楽はナマだと興奮する。

お目当てのラヴェルは気に入りました。特に2曲目の「絞首台」はすんごくおもしろくて(変わっていて)、また何年かしたら弾きに来てほしいなあ!
終曲の超絶技巧「スカルボ」もちょっと変わっている印象で(もう細かいところまで覚えていない…)後半からだいぶ興奮した記憶が。

休憩後は『展覧会の絵』
どうしてもオーケストラ版の方が好みなので点がからくなってしまうのですが、いやこれはやっぱり大変な難曲ですわ。
聴いているだけで疲れる(あはは)。演奏するのも疲れそうな気がしてしまう(力なんか入れていないと思いますが)。
ミスタッチもそれなりにあって、いや~大変ですね~と思いながらの鑑賞でした。お疲れ様でした。

いろいろとおもしろい解釈で楽しませてもらえそうなので、今後もこの人の来日公演があったら行くと思います。

2019年3月21日 (木)

弾き合い会

祭日を利用したヴァイオリン教室の行事があったので、参加してきました。
教室のメインはヴァイオリンですがヴィオラ・チェロ・ピアノの生徒も少しずついまして、ピアノ科の私も行事にはちょくちょく顔を出しているので皆さんとは顔見知りです。

 お客さんを呼ばない、演奏で参加する人だけ(子供の場合はプラス保護者)の小さな発表会で、今回15回目を記念してピアノのあるレストランを貸し切りにしていつもよりちょっと豪華な感じになりました。出演者19名。
普段はジャズ・トリオなんかをやっていそうなお店でした。軽いイタリアンがメニューにあって、食べながら飲みながら和気あいあいとした雰囲気で楽しかったです。おじさんたちは「飲まなきゃやってらんない」と出番の前からワインをぐびぐび(笑)。

私は、去年の夏の発表会で弾いたドビュッシーをまた弾いたのですが、このところまったく練習していなかったので途中迷子になったりして結局また不完全燃焼。
ではありましたが、音の出しかた自体は前よりも思いどおりにできるようになったなあと思って、まあまあ満足です。あがってところどころで頭の中が白くなったけれど、手は震えなかったし。あと、ペダルを踏む神経もクリアだったので、そこで指の失敗をいくらかカバーできたかも。
なんか、おもしろかったですよ。指がどこにいったらいいのかアワアワしているのに、足担当の頭脳は「おいおい、しっかりしろや。こっちでごまかしといてやるから、落ち着け」と思っているのが妙にハッキリわかっていたんですよね。自分の中に作業者が何人かいるのを認識したのは初めてのような気がする。

全員が全員の演奏についての褒めポイントを書いて渡すので、聴く方でも勉強になります。ぼーっと聴いてちゃ書けません。
私が書いていただいた感想は、静けさと盛り上がったときの迫力の対比や、ペダルの使い方に言及されているものが多くて、ヘタな演奏でもやりたかったことはわかっていただけていたんだなあ…と感無量でした。皆さん、お優しい…。
感想を書くというシステムは、第1回を企画したときに皆さん尻込みしてしまって出演したがらなかったので、「あらさがしをする会ではないから!」「どんなに失敗しても全員がよかったところを見つけてくれていたら自信につながるのでは?」ということで始まったのだそうです。
私自身はヘタで当たり前だと思っているので尻込みはしませんが、『よかったところカード』を読むのはやはり嬉しいものなので、これからも励みにしてやっていこうと思います。
発表会の予行演習のような位置づけでもありますし、人前であがりながら演奏する機会は多いほどいいですよね。

2019年3月19日 (火)

デンマーク国立交響楽団(2)

デンマーク国立交響楽団
指揮:ファヴィオ・ルイージ
ヴァイオリン独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

デンマーク国立交響楽団&指揮者ルイージさんの別プログラムを聴いてきましたよ。
<プログラム>
ソレンセン◆Evening Land
ブルッフ◆ヴァイオリン協奏曲第1番
      -休憩-
ベートーヴェン◆交響曲第7番

まずは短めの1曲(約15分)から。
デンマーク人作曲家による日本初演の曲で、まあ現代音楽でしたね。ノイズ系ではないが、ときどきものすごく美しい調性音楽になったり、調も拍もよくわからなくなったり、なにやら高度な計算式を見ているようでもある。
弦楽器群とトロンボーンがポルタメントでうねうねしたりするところは、現代の不安感のようなものを感じる。
中間部でかなり激しくなったんですけど、やっぱり戦争や紛争を連想してしまいますね。
現代音楽は生演奏だととても刺激的でおもしろいんです。とてもとても高度な演奏技術が見られるからというのも大きい。
(しかし録音で聴くのはかなりつらい…)
演奏が終わったら、客席に向かって演奏者たちが拍手しているので「??」と思っていたら、客席から舞台に向かって一人の西洋人男性が歩いてきました。おお、作曲者ですな!ブラボーでしたよ~。
舞台に上がって何人もの奏者とハグして讃えあっていました。

2曲目はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。
ソリストは真っ赤なドレスのアラベラ・美歩・シュタインバッハーさん。
テンポは速すぎず遅すぎずの、この曲でイメージする中庸のところで進みました。チャイコンなどに比べてあまりよく知らない曲なので、細かい感想は無しですが、このオケらしい弦のスピード感の迫力が、アラベラさんのメリハリとお互いに高め合っていました。狩猟民族って感じの仕上がり。
ソリストのアンコールは、クライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス」という初めて聴く曲でした。無伴奏でめちゃめちゃ超絶技巧だった。

休憩後は待ってましたのベト7!
ルイージさんはN響も何度か振っているけれどベト7はやったことあったかな?
ベト7はおなじみすぎてたいていのオケではわざわざ聴かなくてもいいやくらいに思っているのですが、このオケとこの指揮者なら是非とも聴きたいじゃないですか。期待しすぎても絶対裏切られることはなかろう。
で、期待を大幅に上回る大ハッピーな結果でした。
出だしはテンポ普通。鳴りかたも割とよくある感じ。しかし、春を思わせるフルートの例のフレーズから「!」が始まって、あとはすげーすげーの連続で、一人によによ笑っているうちに大団円までいってしまいました。
あのフルートが合図だったよなあ…ベートーヴェンの時代のフルートのような音色で(他のときはちゃんとモダンな音色だった)、ちょっと古風なバロック風味の装飾をつけてとても印象的!同じフレーズを他の楽器が繰り返しながら重ねていって、若干テンポも上げて盛り上がる。マエストロの動きも素晴らしい。見ていると5割増し盛り上がるね!
タラちゃん楽章(第3楽章)は標準よりスローテンポだったかな。春の野原でうとうとしているイメージ。
最終楽章は、全体的には少し速いかな程度だけど、ポイントにしぼってほんのわずかさらにテンポを上げるのが小憎らしく効いて「いいぞもっとやれ!」(パッパラフニフニのところね)クライマックスではベルアップを待ち構えてウズウズ待っていると、ちゃんとベルアップされて(まあそりゃするわな)「よっしゃー!」と心の中で叫ぶ。
ああ忙しかった(笑)。テンポの緩急、強弱の幅、すべてが好み。いやはや大満足でありました。

アンコールはこの前と同じタンゴのあれ。でも好きな演奏だったので、同じ曲だけどまた聴けてよかったです。なんだかすごくゴージャスだったんですよね。古い方の「オリエント急行殺人事件」の雰囲気といいましょうか。古き良き時代にしかない豪華さ。

さて。今日は終了後の拍手とカーテンコールはごく普通の規模でした。むしろあっさりしている方かも。
先週の熱狂は本当にめったにないことだったんですよ。

2019年3月12日 (火)

デンマーク国立交響楽団(1)

デンマーク国立交響楽団
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ独奏:横山幸雄

初来日シリーズ。今日はこれに行ってきました。デンマーク放送局の楽団なので、日本のN響のような存在なのでしょう。
このオケはオーソドックスなためそんな派手な驚きはないけれど、そういう正攻法のオケの中では新しい風を感じるオケだと録音や映像から感じていました。フランスものとかいいんですよぅ。ファビオ・ルイージが指揮したものは見たことがありませんでしたが、今日聴いてきてすごく相性がいい!と思いました。

<プログラム>
ニールセン◆歌劇「仮面舞踏会」序曲
ベートーヴェン◆ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
     -休憩-
チャイコフスキー◆交響曲第5番

来週のBプロの方がより好みですが、今日はやはりチャイ5が圧巻でした!
ホルン、確かにものすごい歌ごころでしたね(前日の関係者ご招待公演をお聴きになったヴァイオリンの先生が、うわごとのようにホルンを讃えていらしたので、どういうことだったんだろうと思ったけど、なるほどこれはやられるわ)。
そして、クラリネットとオーボエもソロが素晴らしかったし、トロンボーントリオとチューバのチームワークも笑っちゃうくらいできあがっていました。
前半のベートーヴェン『皇帝』もおもしろかった。もうすっかり三津谷寛治のテーマと化してしまった曲ですが、あの「NHKなんで!」が思い浮かばないくらい別物。
ピアノの横山さんはショパンのイメージが強い人で、ベートーヴェンをこんな風に軽やかに弾くとは意外に思いました。いやなんか、古典派という感じがしなかったです。オケも。というか、オケが(指揮者が)こんな感じにやるということで横山さんが合わせたのでしょうけれども。「ザ・ベートーヴェン!これぞ古典派でござい!」ではなくて楽しかったですよ~。私には、フランスの風が吹いているように感じました。
ソリストのアンコールはショパンの『革命』。ごめん、ちょっとウケてしまった。この流れでもやっぱショパン弾くんだなと思って。得意曲なだけあって、個性強めでガツンと聴かせてきました。広いサントリーホールを一瞬で自分一人の世界に変えちゃうのね。

順序が逆になりましたが、楽団全体のアンコールは、前日の招待公演と同様『タンゴ・ジェラシー』。コンマスのソロがかっこよかった!
全曲終わって、弦楽器の人たちがハグし合っていたのがほほえましかったです。各プルトの表の人と裏の人がハグしていたの。そういえば先月のムジカエテルナも、「やったぜ!」「やったな!」とあちこちでハグ大会になっていたけれど、いろんな人たちが混じりあってごちゃごちゃにハグしていたんですよね。ここみたいにプルト内ハグってのは初めて見ました。

おまけ。演奏が終わってからの光景が珍しい流れになって、ちょっと忘れ難い思い出となりました。
何度もカーテンコールがあったとしても、客電がついて明るくなったら拍手が止むのが普通です。コンサートも演劇もかなり行っているけれど、客席が明るくなったら「帰れ」の合図なのはどこでも共通。
ですが、今日は帰り始める人もいたけれど、舞台上の奏者たちが楽屋にひっこみはじめても拍手が止まず、楽器を片付けるのに手間取っているコントラバスさんたちだけになっても止まず、ついに指揮者が手をぶんぶん振りながら舞台に戻ってきてしまいました。残っている客は半分くらいだったかな。そこでやんやの大喝采になり、ルイージさんご機嫌で舞台上をぐるぐる巡ってサイドやバックの席にも手をふりまくる。
そのうち、楽団員もぞろぞろ戻ってきちゃって、いやさすがにもう1曲はないけれど、なんならやってもいいかもくらいの盛り上がりでした(やりませんでしたよ。譜面台も片付けちゃってたし)。
全員で360度ぐるっと挨拶を何度もやって、ようやくみんな帰りました。
こんなに温かい雰囲気のコンサート帰りはなかなかないです。

2019年2月13日 (水)

ムジカエテルナ演奏会

ムジカエテルナ 指揮・テオドール・クルレンツィス @サントリーホール

ついに来ましたクルレンツィス&ムジカエテルナ。
コパチンスカヤがソロをとる日のチケットはとれなかった(大阪はまだあるので遠征しようかとギリギリまで悩んだが、やめといた)が、今日は今日ですごかったっすよ!

プログラムは全曲チャイコフスキー。
前半は「組曲第3番」。実は聴いたことのない曲なので、オーソドックスな演奏がどんななのか知らなくて、比べようがないのだが、これはまあ彼らにしてはおとなしめだったのではないかな。
テンポも落ち着いていたし、アクセントが目立つ個所もなかったので、そういう判断なんですけども。
ということで、まずは普通に鑑賞しました。最初から弦の音がものすごく美しいのが際立っていて、感激。今年は教室で弦オケの発表会があるので、いつにも増して弦の演奏に敏感なのである(自分は弾かないが)。
管楽器と打楽器は基本的な最低限の人数なんですが、それに比して弦の人数が多いってのもある。コントラバスは9人もいた。
チェロ以外は立って演奏するのがムジカエテルナのお約束で、そのためもあってか、体の動きとともに音楽の動きが大きいんですわ。コンマス(若い!)は特に大きな動きで、指揮者とは別に弦パートをまとめている。
管楽器奏者は一応、椅子があって、お休みのところでは座っていますが、自分が吹くときにいちいち立ちます(ソロパートではなくても)。

組曲の最後の方の曲はとても盛り上がる曲調なので、そのまま熱狂の空間になって終了。
お客さんもいつもの感じとは違う。一体となって「いい音楽だった!」という空気で会場を満たしました。
すると、日本の観客が気に入ったのか、ここでオーケストラのアンコールが始まってしまったのです。いやいや、ないですよ普通こんなこと(初日のオーチャードホールではやらなかったそうですが、これならもっとサービスしようかということになったのかもね)。
しかも、コパチンスカヤが出る日のプログラムにあるチャイコの「ヴァイオリン協奏曲」の第3楽章を丸ごと!ソロは誰がやるのかって、若い若いコンマス!ホグワーツ魔法学校の生徒みたいな感じの子が、バリバリ弾きまくるのである。うまい!そして速い!そうそうこの速さがクルレンツィスっぽさなのよ。アンド、特異なアクセントや、目立たせる楽器の選び方のおもしろさなども、この曲でははっきり出ていました。こりゃたまらん。ロシアの民族音楽風のところなんかもうとっても楽しかった!いやー、コパちんのソロ聴きたかったなあと行く前は思っていたけれど、これ聴けたから大満足です。まあ第1楽章も聴きたかったが、贅沢は言うまい。ものすごいおまけにお客さんみんな大興奮でした。
弾き終えた瞬間の、コンマス(ソリスト)と指揮者の爆発的ハグ&ガッツポーズとか(スポーツで優勝した選手とコーチのような…)、オケメンバーの高揚したようすとか、もう思い出帳に書ききれん(笑)。舞台の上も大興奮だったのよね。
拍手なりやまず、コンマスが一人でアンコール。これも異例ですな。曲は、イザイの無伴奏から、バッハと「怒りの日」のフレーズが入っているあれを。この曲も好きなんだよな。

休憩に入って、この興奮を誰かに話したくてウズウズしているところに、隣席のご婦人がたが同様の状態になっていたので、3人でわーわー盛り上がってしまいました。知らない人なのに。おばちゃんパワーです。

後半は、チラシと曲順を入れ替えて、まずは「幻想序曲 ロメオとジュリエット」から。これは私がチャイコフスキーを好きになったきっかけの曲なので、こまかいところまで知っておるぞ。だから、個性的な演奏解釈がいちいち刺さってきておもしろく、心はずみました。後半の盛り上げに備えて前半をどう抑えるかというところの考えかたが、やはり他にはない個性。終わり方も、ここまでするかというくらいにおさめたのですが、バレエの幕切れを想像するとこれがピタッとくるんだな。バレエの曲ではないのでこんなふうに考えたことがなかったけれど、なるほどこういう手もあるか。
音が消えても余韻をうんと長くとって、指揮者の腕も奏者の弓もずーっと空中にあったのですが、その間、誰もみじろぎもせずに「無音」を聴いていました。外国の演奏家が、日本の聴衆のレベルの高さをほめてくれることがよくありますが、こういうところだろうなと思いました。

最後の曲は「幻想曲 フランチェスカ・ダ・リミニ」。
ざっくり分ければさっきのロミジュリと同系統ですが、地獄篇を題材にしているので、激しいところがより激しい。
大人数の弦が生きてくる選曲でしたね。
最後はジャンジャカ大音量で爆発的に終わり、演奏会がはねるにはこっちを最後にもってきて正解でしたね。

明日の大阪で日本ツアー終了ですが、私は今日のこれで十分満足しました。また来日したら今度は東京のチケットとりをがんばろう。

2019年2月 4日 (月)

キット・アームストロング演奏会

@浜離宮朝日ホール

一昨年に聴いてとても良かった若いピアニストがまた来日してくれたので行ってきました。

前回はプログラムがおもしろかったので「知らないなあ。誰だろう?」と思いつつ行ったら大当たりだったのですが、今回もなかなかないプログラムでした。意欲的だのう。

小柄で、高校生に見える(ブレザーの制服みたいなのを着ているし、しぐさが子供っぽい。物理や数学の天才児で、小学生の年頃に大学で勉強していたような子だったから、そのまま大人になっちゃった感じである)。
しかし、ものすごく知的な演奏で、超絶技巧曲であっても爆演系にはならず冷たい炎が燃えている方向にもっていく。

さて今日は、バッハを中心に置いて、ルネサンス期やバロック期のチェンバロ曲やリストを並べました。変奏曲が多かった。その中になぜかフォーレが鎮座。すげー。選曲に至る物語がおもしろいわー。
弾けなくても架空のプログラムを考えるのが好きな私にはこの人のコンサートはたまらんごちそうです。

クープラン◆パッサカリア
大バッハ◆トリオソナタ第3番
フォーレ◆9つの前奏曲
   -休憩-
バード◆ウォルシンガム
バード◆セリンジャーのラウンド
バード◆鐘
リスト◆バッハのモチーフによる変奏曲

チェンバロ曲をピアノで表現するのが本当にうまい。アイディアがいっぱい。ペダルの細かい技も光る。
フォーレの音色づくりが意外な路線で、感服して聴いていたが、チェンバロの曲をピアノで演奏するには?と考えるような人の発想から出てくる音色と思えばまあ納得か。フランス人のベテランピアニストが演奏するフォーレばかり聴いてきたが、今日のも好みでした。音の流れ(進み方というか、横の線)ではなく音色でフランスの色を出すのって、極めるとすごく個性的な効果になるんだなあ。
最後のリストは、この人の大事にしているバッハをネタにしているとはいえ、やっぱりリストなわけですよ。音がでかいわけですよ(雑な表現)。頭脳派で小柄なピアニストが弾くイメージなんかない曲だったんですけど、冷たい炎的演奏で「やってくれおった」。
どの曲も、ものすごくよく音を聴きながら演奏しているのがよくわかりました。見習っていかなくてはな。

最後の曲のとき、変な音を出す鍵盤が1コあるのが気になりました。ちょっとだけズレているというか、ホンキートンクな震えが出るの。私でもわかるくらいだから相当だと思うのよ。
アンコールを弾く前に、「ピアノの調律がちょっと狂っていました。Gの音。これ」と言いながら、一つのキーをポーンと弾いたんですけど、プロの演奏会でこんなに歪んでいるのって調律師はつらかっただろうなあ…
まあ、そのままでアンコール1曲目。平均律・第1巻・第1番のプレリュード。先ほどのリストの気配はどこへ行ったのかという、まさに天上の音楽でした。これをこんなに美しく弾く人はそういないと思うぞ。家のピアノでなんとか再現できないものか。禅の心で練習してみよう。
アンコール2曲目のときに調律師が一緒に出てきて、ちゃちゃっと直しました(笑)。「どれですか?これかな」違う「これです」みたいなやりとりが、先生と児童みたいでほほえましかったが、それどころではないか。
で、バッハのコラールから1曲を演奏し、お開きになりました。

2019年1月22日 (火)

イアン・ボストリッジ演奏会

イアン・ボストリッジ(テノール)リサイタル @トッパンホール
 ピアノ伴奏▼サスキア・ジョルジーニ

今日も今日とてコンサート。
珍しく声楽です。ボストリッジ博士の生公演は15年ぶり!光陰矢の如し。あのときは伴奏が内田光子だったので、テノール歌手一人のリサイタルなのにサントリーホールという暴挙でしたが、今日はちょうどいい大きさの箱だし最前列をキープしたぜ。
結構来日しているのだけど、ぼやぼやしているとすぐに完売になるのでこんなに久しぶりになってしまった。

今回の伴奏ピアニストはイタリアの若手。この人がとてもよかったので、2倍楽しめました。

前半はシューマン。
まず、子供のために書いた曲集の中から8曲。しかし歌詞がえぐい。子供特有の残酷さを書いた詩くらいなら驚かないけれど、子供に恐怖心を植え付けてしつけをする親とか、盗人が捕まってリンチに合うも隙をついて反撃に転じ人を殺してたぶん逃げたとか、誘拐されたことを淡々と語ったりとか…リートってまず詩がありきじゃないですか。詩人に創作欲を刺激されて作曲するわけですが、これを選ぶあたりがさすがというかなんというか…いやさすがシューマンです。
中にはちゃんと、さわやかな季節やほのかな恋心を歌った曲もあり、こんなのばかりではないのですけど、まあインパクトの強い方が印象に残るわけでして。
シューマンのもう1曲は「5つの歌曲」。こちらもなかなかの内容です。1曲目と5曲目は曲調も詩の内容も明るいのですが、中の3曲が恐怖と絶望。ピアノ伴奏の劇的さに加えてボストリッジおなじみのアクションで効果抜群でした。
そういえば、15年まえのコンサートも、2日間あるうちの暗い曲の日に行った(「美しき水車小屋の娘」の日と「冬の旅」の日の2択)のですが、すごくよくて気に入ったのでした。ボストリッジは陰影がよいのだ。

この2曲の間に、ピアニストの独奏コーナーがあり、シューマンの「子供の情景」を。
まずピアニストが一人で出てきてピアノの前に向かい、あとからボストリッジが出てきたと思ったらすぐに客席に降りて最前列の1席でしっかり鑑賞していました。あのひょろ長い体がふわふわと前を通っていったのには感激しちゃいました。最前列でラッキーなおまけがついたわ。
この演奏がまた拾いもの(と言っては失礼か)で、この人のアプローチだと独奏なのになんとなく数人での室内楽のような感じに思えました。伴奏が得意な人だと、独奏曲のとらえかたも変わってくるのかしら。
13曲のうちのほとんどが1ページしかない短いものなんですけど、リピートが多いんですよね。だいぶ前に弾いたことありますけど、1回目と2回目の味付けの差のパターンが乏しくて途方にくれたものでした。内側からわいてくるアイディアなんかなかったし。今日の演奏はいろんなところに気をつけているなあ!と小さな感動がたくさんありました。
そしてまたふわふわとボストリッジが私の前を通って舞台に上がり退場。

休憩後の後半は、ベンジャミン・ブリテンの歌曲。
20世紀の作曲家なので、ロマン派のシューマンとはまったく違います。
でも!ボストリッジが選んだ曲は、歌詞が前半の部と調和がとれていましたね。侘しい、苦しい、陰惨、虐殺の予感(戦争の世紀だったからなあ…)。
曲調は不協和音が多く、拍子もよくわからなくなったり、伴奏が一時止まって歌手が語るように言葉を吐き出す個所があったりと、歌もピアノもとても難しい技巧が使われていました。息が合っていたので素晴らしかったです。
技巧も内容も難しい作品だけれど、歌だからなのか、聴き手にダイレクトに届いたというしっかりした感触が残っています。
ブリテンの最後は、フランス民謡に素敵な伴奏をつけた明るく牧歌的な3曲でしめくくりました。重苦しいまま帰らせるのはしのびないということでしょう。
特に最後の曲は、村人総出で踊り出して、酒の入った男たちが掛け声をあげまくる陽気なムードで、あのボストリッジ博士が「ヘイ!」とか叫んでいるのはかなりエモーショナルでありました(笑)。

アンコールは、
シューベルト◆さすらい人の月に寄せる歌
スコットランド民謡◆オー・ワリー・ワリー
(ブリテンが伴奏をつけて整えたもの)
やはりボストリッジといえばシューベルトかな。完全に手の内に入っていますね。
あと、関係ないけれど、アンコール紹介のときの「ベンジャミン・ブリテン」の発音に萌えました。イングランド人の話す英語に目がないのだ。

«ホアキン・アチュカロ演奏会