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2017年11月18日 (土)

アンジェラ・ヒューイット バッハ全曲演奏会2

●5月30日(火)●於:紀尾井ホール

アンジェラお姉さまのバッハ2日目。
今日のプログラムは『フランス組曲』全曲で、昨日の「学習者の必修曲」&「地味めなレア曲」に比べてお客さんがいっぱい。ゲンキンだな。

それはさておき、今日もたいへん聴きごたえのある2時間でした。
ピアノ用に書かれたかのように弾きこなされた長調の曲たちは1点の疑問もなく「これぞバッハ!」とまたまた説得されてしまった。
短調のいくつかの曲は、やっぱり平均律では響きがイマイチ…とか思ってしまったけれど、それは演奏者の責任ではないし。
雲のすきまから光が差し込んで神々しい光景が目にうかぶような第4組曲のアルマンドだけは、どうしてもチェンバロでないと魅力が5割しか出ないなあ。でもそれ以外はなんの疑問も文句もなし!

特に感服したのは各組曲のジーグ。
もともと一つとして同じようなジーグはないんですが、色合いの違いを音色にまで昇華させる見事な手腕!
ペダルの踏み音さえ、街角や劇場でジーグを踊る民衆の打楽器を彷彿とさせるではないか。
各組曲の最終曲がそれぞれすべてジーグで、ヘイ!とかヒュー!とか歓声をあげて終わるみたいな空気を作ってしまわれて、まいりました。
なんなんだろう、あのリズム感。バロック音楽のノリを堪能しました。モダン楽器であそこまで出せるなんてさすがはアンジェラ姉さんだ。タイムスリップした感じ。あの時代にこんなピアノないのに。

平均律問題ですけど、今夜ほどバッハ曲と平均律調律の相性のイマイチさ(悪いとまでは言いきれない)を痛感したことはなかった。
特に3度がヒドイ。名曲のはずなのにバカみたいに聞こえるところが何か所かあって、こんなことに気づきもしなかったおめでたい耳をしていた頃がなつかし…くはないが、うーむと考えさせられました。

第1夜はインヴェンションとシンフォニアで小学生時代に引き戻され、今日はフランス組曲で中学生時代に立ち返りました。
一番やり直したいのはシンフォニアだな~。純粋に曲として好き。

アンジェラ・ヒューイット バッハ全曲演奏会1

●5月29日(月)●於:紀尾井ホール

英国のピアニスト、アンジェラ・ヒューイットによる、大バッハの鍵盤独奏曲を12回の公演で全曲演奏するプロジェクトが始動しました。

世界5都市×12回。すごいパワー。東京もスケジュールに入れてくれて感謝します。

第1回の今日のプログラムは、『インヴェンションとシンフォニア』と、幻想曲やカプリッチョなど「○○集」に入れにくいカテゴリーの小曲いろいろ。
ピアノでバッハを弾く意味がわからないような演奏をする人とは次元の違う、もう本当に説得力のある演奏でした。感激しすぎてぼーっとしています。
チェンバロでは当たり前の装飾をピアノでどう弾くか、考えに考えぬかれた入れ方。そもそもなぜ装飾しなくてはならないのか。チェンバロとピアノでは物理的にまったく違うのだ。
その他にも、チェンバロと比較して異常なまでに低く太いピアノでの低音の使い方や、繊細を極めたペダルの足技などなど、聴きどころだらけでした。ひれ伏したい。
十代の若いバッハが大好きな兄の旅立ちを見送るというヘンな曲があるのですが、これをチェンバロ以外で弾く人はなかなかいない。ピアノだとヘンさ2割増しかな。アンジェラ姉さんが弾いてもやっぱりこれはチェンバロ向きの曲なんだなと再確認してしまった…。でも工夫がそこかしこにあってさすがでした。
あと、パイプオルガン向きの曲の盛り上げかたが素晴らしくて、マネしてみたい気マンマン!(できないけど)ピアノであの荘厳さを表現できたらなあ。

ピアノ学習者としては、やはりシンフォニアの芸術みほとばしる演奏が心に響きました。
これを聴くと小学生の頃の自分に戻るなあ。初心にかえって練習しなくちゃという気になってしまった。

2017年11月16日 (木)

タンペレ・フィル 第2夜

●5月23日(火)●於:東京文化会館
タンペレ・フィルハーモニー

他の都市を回って再び東京で別プログラム。
超有名な名曲を揃えた初日に比べると地味めな選曲なせいか、空席が目についたけれど、これを聴かないなんてもったいない!

1曲目「エン・サガ」は民族的メロディを織り込んだちょっと魔術的な雰囲気のある作品。
弦がさまざまな手法で音をくりだしてくるので魅惑されっぱなし。
あとファゴットさんが今日も素晴らしいソロを聴かせてくれました。

2曲目はシベコン。これは超メジャー級ですが、内容はずっしり重いので聴くにも体力いるかな。
ソロは堀米ゆず子さん。彼女の演奏は何度か生で聴いていますが、今日は特に気持ちの乗った名演だったと思います。
ご自分がお休みの部分では楽団と微笑み合ったり、宙をにらんで集中したりといった様子も目で聴く音楽の一部として機能していました。
それにしてもすごい曲ですよね。オクターブの重音、そんなに連発しなくても…シベリウス、鬼だわ。超ハイポジ連発も鬼だわ。

3曲目はシベ5。先週のシベ2ほどロマンチックではないが、明るくて聴きやすい曲。
弦と管のリズムがずれて書かれている部分など演奏が地味に難しそうなんですけどまあプロだもんな…そんなことは華麗にクリアして、やっぱり「こんなシベ5聴いたことない!」というアプローチでしっかり驚いて帰ってきました。
最後のまとめのザン!ザン!ザン!ってやつ、すごかったですわ…呆然。
最終楽章のクライマックスあたり、弦5部がノリノリで本当に幸せそうで…チェロ隊なんか踊り出しそうだったわ。

アンコールがまた感激モノで。
初日に聴いて、何度でも聴きたいよう…と泣きがはいりそうだった新鮮すぎる「フィンランディア」再びキタコレ。脳に録音するくらいの気持ちでがっつり聴きました。ああやっぱりいいなあ。
そして、いつかピアノの発表会で弾きたいなと思っていたシベリウスの「悲しきワルツ」のオリジナル・オーケストラ版(ピアノアレンジが後)がアンコール2曲目で、これまた脳内録音スイッチオン!エンディングの3つの音の弾き方が、ピアノでは不可能な弦ならではのやりかたなんですけど、いろいろと参考になるなあと思いました。

あ~あ終わっちゃったなあ。また来てね。
そして秋にはノルウェーの楽団が来るのでこれはこれでまた楽しみなのである。

2017年11月15日 (水)

タンペレ・フィル 第1夜

●5月19日(金)●於:東京文化会館
タンペレ・フィルハーモニー

待ち遠しかった初来日公演。タンペレは、フィンランド第2の都市です。
先日のムーミンバレエ来日に続いて今年はフィンランドづいていますね。

弦、特にヴィオラとチェロの鳴りが今まで聴いたことのない感じで、何が違うんだろう…松脂?(違)
7人のコントラバスも良くてすっかりコンバス隊のファンに。
他、特にオーボエ、ファゴット、トロンボーン、チューバが良かったです。

そして聴き慣れた名曲がまったく別物で驚き!こんな「フィンランディア」聴いたことない!音色も違うし、緩急も「そうくるか!」なアイディア満載。何度でも聴きたい~でも消えてしまうはかなさも音楽の妙味。
シベ2も、こんな曲だったのー?すっかり印象が違って、びっくり。
グリーグのピアノ協奏曲は、ピアノが日本人だったことが影響したのか割と普通な感じ…インパクトの強い冒頭にはひきつけられましたが、全体に無難だった気がする。他の2曲に比べると「もう1回聴きたい!」というほどではなかったかな。今風に言うなら「普通に良かった」といったところです。

初来日ということなのか、お国モノを並べたプログラムでしたが、ロシアに攻め込まれるわ、スウェーデンに吸収されるわ、大変な歴史をたどったフィンランド民族の苦難や団結心を盛り込んだ曲を表現するにはやはりその国の人たちでないとにじみ出ないものがある。
とは想定していましたけど、今現在を生きている人たちでもあるわけで、新しさも大事なのよね。
彼らには新しい風も吹きぬけていて、淀んでいないというのがとても好ましいと思いました。
才気ほとばしる若い指揮者の力量ですかね。なかなかやりよる。
あと、演奏に直接関係ないが、棒の振り方がかなりのものでして、キラキラキラ~と魔法の粉が出ているみたいな場面もあったよ。魔法少女か。ちょっと動きすぎでもあるが(後ろ姿に木村の幻影が見えた)、拍がとりやすくやりたいこともわかりやすいからまあいいのか。
アンコールも長めに2曲、大サービスでした。
いやー来週にも別プログラムがあるので楽しみです。

2017年11月14日 (火)

スティーヴン・オズボーン -幼子イエス全曲演奏会

今年聴いたコンサートレポがたまってきたのでこれからしばらくがんばります。

●5月18日 於:ヤマハホール
スティーヴン・オズボーン
メシアン「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」全曲

神、星、イエス誕生のドラマ、祝福する鳥、精霊などを表現した20曲。
現代音楽で、最近まで私はこの曲はいろいろな意味でコワイと遠ざけてきました。
ですが、現代音楽にもおもしろいと感じる箇所がちょいちょいあることに気付いた今日この頃、メシアンは現代音楽といってもまだわかりやすい方だと思うようになり、その中でもこの『幼子イエス~』に心をつかまれています。
この中から2~3曲だけをプログラムに入れるピアニストはいるけれど、20曲全曲演奏は珍しく、この機会は逃せない!というわけで、知らないピアニストですがとびつきました。

通しで2時間以上、休憩なしでしたが緊張感あふれる空間にいられて刺激的!疲れているヒマなどなかったです。
最前列でpppからfffまでの打鍵の彩りを堪能しました。現代音楽は構造を分析するのが難しく、私にはまったくお手上げだけれど、少なくとも耳を澄ませて音色を味わうことはできる。楽器から音を引き出す技術が、ロマンチックな音楽のときと比べてアプローチが違ってとてもおもしろかったです。

知らないピアニストだったけれど、気になるピアニストになりました。
聴く前は、スコットランド人がメシアン?とちょっと思ったことは内緒です。
メシアンはよく弾いているそうで、この曲は特に大切にしているんだって。

2017年10月22日 (日)

ロマン派への入口

子供用の教材でピアノレッスンを続けて1年半。
発表会の曲だけは大人仕様でしたが、教本も曲集も子供のために書かれたものしか使ってきませんでした。
余裕で弾ける曲を深く掘り下げる練習でとても充実していましたが、発表会が終わったのを機に、そろそろ違うことをやりましょうということになりました。
基礎の叩き直しから次の段階に進むことになったんですね!
とはいえ基礎も中度・高度のことが待っているので引き続きやっていきますが、経験者の大人ならではの曲で応用力をつけていくのかな?と思います。

残っている子供曲集を11月半ばくらいまではやるので、それまでに次の課題曲集を決めるということで選ぶ材料を尋ねられました。
「作曲家や具体的な曲などご希望はありますか?」
「未踏の地であるロマン派をそろそろ…」
「お!私も絶対ロマン派がいいんじゃないかなあと思っていたんですよ!でも、ロマン派には興味ないとちょいちょい表明していたからなあ…どうかなあって。やー、よかったです!」
「昔習ったベトモツのソナタを一からやり直しという線もちらっとよぎったのですが、今はまだそんなに乗り気ではないなあ…まあそのうちに…という感じです」
「なんと!私もまったく同じことを考えていました。いつか必ずそういう(ベトモツ)気分が訪れるのでそしたらやりましょ~」と盛り上がりました。
で、ロマン派の誰にする何にするでひとしきり固有名詞が飛び交って、シューマンかブラームスかまで絞ったところで話の続きは翌週へ持ち越し。

ロマン派で中級ならまずシューベルトとかなんですけど、シューのピアノ曲には萌えないので選択肢に入らなかった(何度も言うが、シューの良さは歌と弦楽にある)。
シューベルトの「楽興の時」第2番は中級の代表選手↓

ショパンは聴く分にはいいが特に弾きたいものではない。

シューマンはお互いに具体的な曲名がばんばん出てきたけれどどうかな。
先生が「クライスレリアーナとか!」なんておっしゃるので
「いやいやいやいや!難しすぎます!」
「それはまあ難しいですけど」
「クライスレリアーナでシューマンに興味を持ったくらいで憧れの曲ですけど現世では無理だと思ってますー」
「えー、できますよ~」
「うっそーん」
「いけますって~」
「8曲の中には速すぎないのもありますが…」
などと夢のような会話もありましたが、ロマン派への入り口に持ってくる曲ではないわいな。でもいずれ中の何曲かはできるかもと希望は芽生えました。

あと、ブラームスの話では
「ワルツ集はよく弾かれているのでちょっと見てみたことがありますけれど、弾くのがしんどいなという印象でして」
「あら、あれは弾き易いですよ!(先生の目がきら~ん☆)」
というやりとりも。ブラームスのピアノ曲は中級の上くらいからで気軽に手を出すようなものではないと思っている中で、唯一ポピュラーかつ手を出し易いのがワルツ集なんですよ。
でも、左手がブンチャッチャの伴奏になっている3拍子の曲がどうも好きじゃなくて…近代以降の3拍子曲はブンチャッチャぜずにワルツに仕立てているので、弾いていてすごく楽しく乗れるのですけども。
ブラームスなら間奏曲(インテルメッツォ)や奇想曲(カプリッチョ)がいいなあ。1曲1曲が短いし。

そして翌週、シューマンとブラームスどちらがいいですか?とストレートな質問があったので、ブラームス!と即答し、選曲はおまかせすることになりました。
さて何が来るでしょう。わくわく。

2017年10月 9日 (月)

緊張経験を積む

ヴァイオリン(とピアノ)の教室は、祝日はレッスンがお休みで、その日には先生のお宅で小さなイベントをすることがあります。室内楽の軽いレッスンや、千円ほどの会費でのミニ発表会などです。
今日はミニ発表会が企画されたので久しぶりに参加してきました。
人前で演奏することに慣れようという趣旨なので、このために特別に曲を練習してくるわけではなく、普段のレッスンで練習中の曲の途中経過を聞かせる人が多いです。
今回は先月の発表会で弾いた曲をもう一度おさらいする人がほとんどで、私もその中で一番好きな1曲を選びました。4歳から8歳の小さいお友達も4人参加したので、2曲は飽きるかもと思って1曲に。

本番(?)のあとは懇親会。そっちがメインという説もある。
子供たち同士は、発表会でちらっと挨拶したくらいのほぼ初対面だそうですが、あっという間に仲良くなって遊びまくっていました。
お母さんがたも、このスクール内でのママ友ができてとても嬉しそう。どうやって練習させるかなど情報交換もされていましたし、ご自身も音楽が大好きなので大人の生徒と一緒に盛り上がりました。お子さんたちが一人で練習できるくらい大きくなったらご自分もヴァイオリンを習う予定だそうです!いいなあ家庭内室内楽。

それにしても、言うまでもないが子供さんは入門クラスでも大人とは全然違うっす。
まだ曲らしい曲まで到達していなくても、音程は大人ほど狂わないし、なんといっても体全体の使い方がとても自然で、躊躇なく弓を弦に命中させるんですよねえ。当てる強さもばっちり。音階や調なんかも、理屈ではなく感覚で体得してしまうでしょうし、大人たちは「まいったなあ」の連発でした。
この分なら高学年になったらいっぱしのヴァイオリニストですよ。
先生が「最近、男性のイベント参加率が上がって喜ばしい!」と喜んでおられて、今回は新メンバーの若い男性がさっそくの参加。こういう習い事は女性の方がどうしても多くなってしまうけれど、気後れせずにどんどん来てくれると多様性の面でもいいことですよね。

このミニ発表会はリビングで行うので、最大20人くらい参加できるのですが(演奏せずに聴くだけの参加は不可)、それはヴァイオリンやヴィオラの場合で…私の番になると、ピアノのある狭いレッスン室に移動してぎゅうぎゅうに詰め込まれることになります。
去年も1度参加して様子はわかっていたのですが、あのときの参加者は8人だったから…それでも結構ぎっしりだった。
今回は、大人は半分以上が立ち見となり、子供たちは床にぺたんと座って、もうピアノ椅子のふもとまで人が押し寄せている状態で、じーっと見ているわけです。皆さんが立ち位置を決めたとき笑いが起きてしまいましたよ。あまりにも近すぎるから。人前で演奏する経験にもほどがある(笑)。
これまでの人生で一番緊張したかもしれない。前半はまだ「落ち着けー落ち着けー」と唱えながら弾いていて幾分マシだったけれど、半分過ぎたあたりから効き目が切れてド緊張が始まり、エンディングが近づくにつれ手がふるえてくる始末。
終わってお辞儀をしてから、震えまくる手を見せて爆笑をとりました。
でもなんとか落ちずに弾き切れたのは良い経験になったと思います。
それに、終止部分は会心の出来となり、自分の中で「おお!」と思ったのと同時に大人たちから「おお~」とため息がもれたのも良かったです。曲の中でもこの部分は本当に好きで、聴く人みんなに「すごくいい曲!」と思ってもらいたい(好みもあるけど…)ので、嬉しい。
さらに、この会では、一人が演奏を終えるたびに全員が「よかったところ」を書いて(無記名)渡すので、失敗しちゃったと思っても元気づけられるんです。どれもニヤニヤと嬉しいものでしたが、中でも子供の字で「とてもいい曲だったので、もう1回聴きたいです」と書いてあったのが明日への糧になりました。
先生からは、発表会のときの演奏よりも今日の方が良かったと言っていただけたのが何よりのごちそう。この曲はまだ毎日練習しているからね。

ミニ発表会は年末にもう1回開催されます。レッスンで新しい曲に入るので今度はその曲で参加しようと思っています。

2017年9月29日 (金)

ドビュッシーの習作

次の室内楽の発表会はたぶん2020年。
何人かの生徒さんがやっていた「自分以外は全員プロ」のチームで参加すれば、自分のやりたい曲を持ち込みでできるんだよなー。
生徒同士で組むのも勉強になるけれど(至らない同士であぶりだされる問題点の貴重なことといったら)、ちょっと背伸びした曲を気持ちよく演奏する喜びも捨てがたい。
やりたいことはやっておかねば。もう若くないのでござる。
「自分の腕ではかなり無理があるが、死ぬまでにやっておきたい曲がある」という人は多いでしょう。ボロボロでもいいから1度お手合わせ願って「思い残すことはない」と笑って死ぬんだよねきっと。
私の「無理だが死ぬ前になんとか」はラヴェルのピアノ三重奏曲。ラヴェルの晩年の傑作で、遺言とまで言われているくらい内容の濃い作品。表面をなぞるだけで精一杯だろうけれど(いやそれすらもどうだか)、本当に一度でいいからやってみたいな。

それはさておき、フォーレ&ドビュッシー&ラヴェルのピアノ三重奏曲がセットでCDになっていることが多いんですよ。
3人ともピアノ三重奏曲は1曲ずつしか書いていないのと、音楽史的にも3人並べるとおさまりがいいのとで、そうなるんですよね。ちょうどCD1枚の長さだし。
なので、ラヴェルを聴くならついでに、と3曲続けて聴いてしまうんですが、この3曲の中でドビュッシーのだけが見劣りするなあといつも思っていました。
フォーレは他の2人より時代が少しだけ古いので、さほどとんがったことをしていないのは当然なのですが、ロマン派にしては近代の風を感じるところもあり、もっと古い「ザ・ロマン派」とは一線を画す響き。それに、ラヴェルのそれと同様に亡くなるすぐ前の作品だけあって、持てるものを出し尽くしたのであろう完成度の高さです。
しかしドビュッシーのは…うーむ。それに、出来がどうこう以前に、どこがドビュッシー?と首をひねるくらいにドビュッシーらしい要素がほとんど入っていないのも謎だ。
ここにきてようやく調べました。ドビュッシーのピアノ三重奏曲なんて最近まで存在することすら知らなかったのですが、なんとなんと作曲を勉強し始める前、17歳のときの作品だったんですって!そりゃレベルが違いすぎるってもんですわ。
書かれてから百年たって原稿が出てきたんだそうです。本当に習作レベルなんですね。

とはいえ美しいメロディーはあちこちに散りばめられていて、ロマン派の曲だと思えばそう悪くないぞ。時代的にはロマン派が終わりかけの頃だから、先輩たちの作品を参考に作ってみたわけで、素人少年がよくぞここまでという気になってくる。
ラヴェルやフォーレの三重奏曲に比べると、ピアノがさほど難しいことをしていないので、もしかしたらこれならそんなに無理せずとも弾けるかも…。
折しも、行きつけの楽譜専門古書店で、この曲のとても状態のよい楽譜が見つかり、それなのに驚きの低価格だったので「思わず!」。
(まったく同じ楽譜が新品なら6,200円もします。室内楽の楽譜は輸入品ばっかりで本当に高いのです…。古本とはいえ、書き込みも折れ曲がりもないのに1,500円とは何かの間違いだろうか)

さっそく楽譜を見ながらCDを聴きました。おお、これはいけそう。
そして、何ヶ所か、ピアノ曲によくみられるドビュッシーらしいクセのようなものを見つけました。後の片鱗はあったんですなあ…するっと聴いていただけではわからなかった。
そして、楽譜を見ながら何度か聴いて演奏のイメージを作っているうちに、ちょっと好きになってきました。正確には、ツボに入るポイントをいくつか見つけて、それが回を重ねるごとに少~しずつ増えていくの。
《嫌いではないがどうでもいい曲》だったのが、「とてもツボ!」な箇所がちょこちょこあるおかげで、気になる曲に昇格したわけです。
技術的な難所はないので、弦と合わせる勉強さえ積めばできると思います。
2020年に間に合うかはわかりませんが、遅くともその次の室内楽発表会までにはなんとかしたいですね。

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