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2018年3月 6日 (火)

新日本フィル定期:フランス特集

●2017年7月14日 @すみだトリフォニーホール

今日は、プロレスではない方の《新日》。
新日本フィルを生で聴くのは初めて。このチケットを買った理由は、頻繁には演奏されないフランス曲が並んでいたからです。フランス近代となると目の色が変わるのだ。
指揮は秋山和慶さん。いつまでもお元気で活躍されたし。

プログラム1曲目は、ジャック・イベールの『寄港地』。
ローマを出発して地中海沿いに3つの国に立ち寄る、ロードムービー的なわくわくする曲。イタリア編は60年代のイタリア映画を思わせる、ゴージャスな中に懐かしさ漂うもので、素敵な響きに包まれました。
第2楽章はチュニジアで、アフリカのリズムとアラブ風の旋律(オーボエ・ソロ)の取り入れ方がおもしろかった。
最後に(第3楽章)スペインに上陸して華やかに盛り上がってスッキリと終わりました。
イベールは、いわゆるフランス印象派の流れから出発したけれど、途中から別の方向に行った作曲家です。この曲はその別方向に転換した後のもので、フランスらしく感じられる洒落た音楽ではありますが、商業的なにおい(映画など)がするところが新時代だなと思います。

2曲目はサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番。「エジプト風」という副題で知られる、今日の中ではまあまあ演奏機会のある部類の曲。
私、この曲はアルド・チッコリーニの演奏を超えるものがないぞと思っていて、それでも期待半分で出かけていくのであります。
今日のソリストはフランスが誇るピアニスト、パスカル・ロジェだったので期待していいかもと思ったのだけど、まあそうでもなかった…。いや年とりましたねロジェさん(外見も、面影を探したが別人のようだった)。ピアノ独奏曲や、室内楽ならまだまだ個性的かつ美しい音で活躍できると思うけれど、こういうのはそろそろあかんかもしれぬ…。
第1楽章はオケは結構よかったと思うのだけど、ピアノが少し「??」。第2楽章はオケもピアノも良かった!これはここで聴けて実に良かった!一期一会の出会いって感じでした。第3楽章は途中までちょこちょこピアノが不安になってしまったが、最後の「まくる」ところから、火事場のバカ力が発動したかライブならではのノリか、妙な一体感でオケとピアノが爆発して大団円!まあ終わりよければすべてよしって言いますな。奇跡的なエンディングとして私の記憶に刻まれた。うむ。

ソリストのアンコールがありまして、サティの「ジムノペディ第1番」を弾いたのですけど、ほらーこういう曲は今でも冴えた腕前じゃないですかロジェ。
一つ一つの音に意味が宿る。そして全体の印象もきちんと聴かせる。

休憩後の3曲目はショーソンの交響曲(1曲しか書いていないので番号なし)。
この人も「フランスの近代の人」と思っているとあれ?となりますね。
すごく北米大陸を感じる。それも西部の方。東じゃないな。
心情的にはドイツロマン派に近く、一番影響を受けたのはワーグナーという、どこがフランスやねんな人だけれど、そこまでゴリゴリにドイツみは感じなくて(脱しようと努力はしていたらしい)、新世界アメリカに近い音楽だと思ったなあ。同じくらいの時代にフランスに生まれ育っても人生いろいろ。
そうそう、一番「へええ」と思った点は、打楽器がティンパニしか出てこないことでした。ねえ。この時代にねえ。だから、ロマン派どころではない、古風というか大時代というか、古典派の響きもところどころ顔を出すんですよ。全体は近代の鳴り方なので本当にところどころですけど。低弦と一緒にティンパニがドコドコ…と鳴るのってベトモツ・ワールドじゃないですか。

いいプログラムだったなあ。3曲とも異国を旅するフランス人(しかも船旅に限る)という物語で統一されていて、とても楽しかったです。

2018年3月 5日 (月)

ハーゲン四重奏団

●2017年7月4日
●ハーゲン四重奏団  @トッパンホール

今日(7/4)はこのかっちょいい弦楽四重奏団のコンサートでした。

Photo

(写真↑は最新CDのジャケットで、このコンサートのチラシではありません)

彼らは東京のトッパンホールをとても気に入っていて、アジアでのホームグラウンドとまで言っているのが嬉しい。
きのう・今日・明日の3日間で、ショスタコーヴィチとシューベルトのセットを3種類聴かせるプログラムでした。
私、タコは大好きだけどシューは好きな曲があまりなくて(特にピアノ曲において)、でも「死と乙女」は別格に好きだ。
というわけで、「死と乙女」をやる今日、行ってきました。
ちなみに、きのうはタコ3とシュー13(ロザムンデ)。今日はタコ・シュー共に14番、明日はタコ・シュー共に15番という組み合わせです。晩年の作品を並べた、たいへん意欲的なメニューですね。
このハーゲン四重奏団って、もっと年をとって円熟の境地に突入というには早いし、いろいろ実験してみたい若気の至りはとうに過ぎているし、ある意味「無敵のお年頃」なのではないか。テクニックは言うまでもないが、経験と余裕&まだまだ攻める勢いをまとっていて、360度全方向どんと来い態勢。妙に音大生っぽいお客さんが多かったのもむべなるかな。

さて、前半はタコ。
激しい弓づかいや不協和音は、この作曲家にしては比較的控えめで、美しい旋律もたくさん出てくる曲。切り替えがきりっとしていて気持ちよい演奏。美しい旋律部分をすごくロマンチックにしていたのが印象的でした。うーむ、15番も聴きたくなっちゃったけど明日は行けないや。録音が発売されたら聴こう。

休憩後は待ってましたの「死と乙女」。
オリジナルの弦楽四重奏版よりも、マーラーがアレンジした弦楽合奏版のCDを良く聴くので、この編成はなんだか久しぶりで新鮮でした。合奏では人数が多くて音の厚みが出ていたのが、オリジナルではそういえばこうだったのねーと。
冒頭の激しいところと、それを少し変えて何度も繰り返すところの緊張感、迫力!ちょっとボタンを掛け違っただけでもう台無しですよねー…ハーゲンさんたち(4人きょうだいで結成され、現在は1人交代して3ハーゲン&1他人)はちょっとした間を特徴的に演奏し、独特の効果が出ていました。4人だけだからこの間がいいんだな…弦楽合奏ではやらないほうがいいな。
私の中には弦楽合奏の方がデフォルトで入ってしまっているので(逆だろう普通)、比べることで4人だけのアンサンブルがとても感動的に思えたし、こんなふうに書いたシューベルトすごいわと尊敬の念がフツフツと。今更か。しかしシューベルトのピアノ独奏曲を習いたいとは決して思わないのであった。シューベルトで良いのは弦と歌だよねえ。

ずっしりの後のアンコールはハイドンの弦楽四重奏曲のどれだったか(多すぎ)から緩徐楽章。デザートがシャーベットでしたという感じでよかったです~。

2018年3月 4日 (日)

日フィル定期:グラズノフⅡ

チェンバロ(通奏低音)もピアノも新しいことに挑戦しているので、かなりあわあわしています。
それらのことを書いておかねば…と思いつつ、本も読みたい、睡眠もとりたい、となるとついつい更新をさぼってしまう結果になってしまいました。
とりあえず、忘れないうちにコンサートの感想を書いていきます。

●2017年6月16日(金)
●日本フィルハーモニー交響楽団 定期公演 於:サントリーホール
できるだけ聴き逃さないようにしている、指揮者ラザレフさんのロシア音楽シリーズです。

グラズノフ◆バレエ音楽「お嬢様女中」
プロコフィエフ◆ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:若林顕
プロコフィエフ◆スキタイ組曲「アラとロリー」

おもしろいプログラムだった!1曲目と3曲目はレアでしょう!聴いたことがない以前に、そんな曲があったなんて知らなかったよ。
グラズノフのはロマンチック・ラブコメ・バレエにつけた音楽なので、映画音楽感覚。近代というよりは後期ロマン派な感じだ。
お嬢様の舞踏会の場面が多いため、いろいろな種類の舞曲が並んでいるのですが、バロック舞曲にのっとって作られていることが透けて見える一方で、近代的な甘さがおもしろい(本物のバロックのスピード感がない分、ベタな盛り上げがある)。

プロコのピアノ協奏曲は、日本人でプロコを弾かせたら間違いない若林さんの、よくしなる鋼のようなタッチが痛快でした。以前プロコを若林さんで聴いて、丸っこいお体(失礼)からよくあんな音が出るものだと放心してしまい、以来、若林さんなら安心してコンサートに行けます。
今日は曲の最初の方はオケとピアノがちょっと合っていないと感じて、どこで立て直すだろう…と手に汗してしまったが、数分でいつの間にか直ってた。

ラストの曲は本当に衝撃でした。予習しないでぶっつけで聴いたんですけど、一言で言うなら「なんじゃこりゃ」。スコアが見たい。というかどこでこんな曲見つけてきたんだ。ってロシアでに決まっとるがな。さすがはラザレフ氏。
古代のスキタイ文明の神話の物語に沿って作られているので、劇音楽の側面があるのだけど、形だけはロマン派の交響詩っぽいか?
何が衝撃って、一番衝撃だったのは音量でした。大音量はフルオケならではですけど、ここまでのはなかなかないのでは。しかもプロコだから不協和音びしばしで、大音量がさらに大きく聞こえるという…。日フィル、ラザレフ氏に鍛えられたからか、こういう強い音のバランスがうまいです。うるさいとか割れているとか思わせないし、物理的にここまで出せるものなのかと感動もする。
冒頭の、打楽器奏者10人が全力で叩きまくる&金管大絶叫&弦楽器は弓を高速上下、の迫力にいきなり持っていかれてしまい、第2曲、第3曲と不思議ワールドを経て、第4曲でまた全員総攻撃。終わりかたもびっくりでした。全員フォルテ10個くらいついていそうな音が長く伸ばされていて、それがいきなりブツッと消えるの。ジャン!でもドン!でもなく。異教の神様の争いの話なので、常識では思いつかない曲でイメージ通りかもと納得してしまいましたが。
古楽とか室内楽とかを聴くことの方が多いので、たまにフルオケを聴くと体力いるわなあと思うのですが、この曲はまたとびきり体力勝負でございました。

2018年1月11日 (木)

2017年ふりかえり

正月休みもその次の3連休も過ぎ、すっかり平常運転になってしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。
昨年の年頭には、音楽の範囲限定での「2016年のトピック」を列挙しました。
楽器の上達に関しては脇に置いて、劇的な発見が多かった1年でした。
一言で表すなら、新しい世界が開けたというのがぴったりです。
2017年もふりかえってみるかな。

◆弦楽合奏の合宿に初参加。たくさんの楽器と合わせる第一歩。

◆40年ぶりにピアノの発表会を体験。
能力ギリギリの曲を選び、技術的・精神的・情緒的に今現在の自分の力を客観的に把握できた。
再開して5年目に入り、ようやくピアノと手がお友達になったと感じられたのもこのあたり。

◆メシアンの『幼子イエスにそそぐ20のまなざし』全曲演奏会が東京で1年に2回もあった。この中から2~3曲だけでもプログラムに入れるピアニストは少なく、全曲ともなるととても珍しいのである(2時間以上かかる)。
そんな貴重なものを2公演とも聴くことができ、僥倖だった。
音楽で哲学するというのは若い頃には他人事だったが、この曲では「そういうことか」と納得する。年をとるといいこともある。

◆94歳の誕生日目前のピアニストのコンサートを聴き、人間が音楽を演奏する意味について思いめぐらすこととなった。
聴いている間はその音楽と音色の美しさを味わっていたけれど、あとからいろいろと考えがわいてきて余韻が長いどころではなかった。
それにしても丁寧な音色づくりには感服したし、そのピアニストの「何歳になっても理想の音楽をあきらめてはいけません」との発言を読んで、あきらめないことなら私にもできるなあ…と思ったのだった。練習をしていて、音は合っているのに何か納得がいかない場合、あきらめずに模索を続けよう。

◆ルネサンス音楽を愛しすぎているリュート奏者とリコーダー奏者による、ポリフォニー音楽白熱教室を聞いた。
ドイツで研究&演奏活動をしている日本人たちで、二人ともしゃべることしゃべること、これが死ぬほどおもしろくて、いやそれどころではなく、死者も思わず生き返るくらいおもしろくて、ますますルネサンス音楽の沼にはまったのであった。
演奏もたっぷりあったので満足度高し。昨年のコンサートのベスト3に入る。うーん、1位でもいいかもしれない…

こうしてまとめてみると、前年ほどの劇的変化はなかったものの、聴く方での収穫が多かったので、インプットの年だったのだなと思います。

2017年12月12日 (火)

ブラームスの印象

さてそのブラームスですが、ロマン派の中で誰にする?ということでそれにしたんですけど、改めて調べてみるとおぼろげだった印象がだいぶ変わってきました。
生きた年代はロマン派の後期ですが、曲(特に管弦楽曲)は古典派に近いものだったんですね。
ベートーヴェンへの尊敬の念が強すぎて、ベト風から脱する気がなかったという。
ただ、ほっといたら古典派っぽい音楽は廃れて埋もれてしまったかもしれない(バッハはそれで一度忘れ去られましたからね)。ベト風の、小編成でがっちりした構成の交響曲を継承し、同時代の仲間たちが交響曲を発展形にもっていくきっかけを作ったんだって。チャイコとかマーラーとかが、編成を厚くし、形式よりもストーリーを重視した交響曲を生み出したのもブラームスのおかげだったりして?
ピアノでちゃんと習ったのはハイドンベトモツまでという私には、ロマン派の入り口にそんなブラームスを持ってきたのはよかったのかしら。

でもそんなブラームスでもピアノ曲には結構ロマン派の香りがするよ。
そもそもピアノ曲のイメージのない人で、ブラームスといえば交響曲とハンガリー舞曲とヴァイオリン協奏曲、ピアノはかろうじてワルツ(Eテレ2355)、あとは何があるの?と思っていました。
ここ数年で、「交響曲は意外と4曲しか書いていない」「室内楽曲は割と多い」「歌曲はとても多い」「ピアノ曲は若い頃と死ぬ前に集中して作曲し、数は少ない」ということを知りましたが、ピアノ曲に限らず全体的に多作ではないということもなんだか意外。
超マジメで完璧主義者、推敲に年月がかかったらしいです。
ピアノ曲から作曲を始めましたが、たいした曲数を作らないうちに交響曲などの大作に向かっていき、ピアノへの興味を失ったかのような時期が長かった。亡くなる4年前に身辺整理などしてから「やっぱピアノ曲を書いときたくなったわ」とばかりに短い曲を20曲(と声楽曲を少し)続けて作ったそうです。
そんな事情を反映し、最後の20のピアノ曲には地味・暗い・ゆっくりの曲が多いです。速い曲でもほの暗い。遺書みたいな曲と位置付けられていますし、死にゆく自分への子守唄だと自分でも言っていたそうです。でも美しいんですよ。
私は50歳を過ぎてから初めて聴いたので、しみじみいい曲だなと第一印象から良かったんですけど、もし若い頃に聴いていたら「暗い!遅い!いらん!」と切り捨てていたでしょう。
聴けば聴くほどしみるスルメ曲たちです。

2017年12月11日 (月)

最近のレッスンメニュー

久しぶりにピアノのレッスン風景など。
当初からずっと3冊の楽譜を使っています。
別々の3つの目的に沿った3冊なんですよ。

①純粋に技術だけをとり出してレッスンする

樹原涼子著 『ピアノランド』 テクニック編 全3巻

『ピアノランド』というのはまったくの初心者用の教材シリーズで、曲を弾きながら楽譜の読み方のルールなどを覚えていくタイプの楽譜です。昔なら『バイエル』一択だったのが、今はこのような教材がたくさん出ています。
で、その姉妹編で「テクニック」に焦点を絞った別冊があり、それを使って基本を叩き直しているというわけです。
ここに出てくるようなことは遠い昔に全部やってきたのですが、今更こんなことなんて思ったら大間違い。細かい点では完璧に習得できていなかったことが自覚できて、叩き直し甲斐のあるレッスンとなっています。
体の使い方も自己流で、無駄な動きが多かったり、力の入れどころがまったく間違っていたり、直すとラクに弾けるし、昔できなかったことができるようにもなるし、いいことばかりです。
音符の意味(長さとか)を正確に考えるクセもつきました。
初級の曲でも、「こんなのパッと見てサラッと弾けるじゃん!」なんてもう言えませんよ。

この教材は今の先生についた当初から使い始めて、全3巻の最終巻に入りました。
その巻は、小学校高学年くらいにならないと身体的に無理かなという内容が多いです(体のサイズや筋肉の発達などの問題)。
表紙のイラストも、上巻は幼稚園児くらい・中巻は小2くらい・下巻は小6くらいの子が描かれていて、なるほどです。

②並んでいる音符を見て作曲家が曲にこめた意味を考える訓練

バルトーク作曲 『ミクロコスモス』 全6巻

これも当初から使い始めて第2巻に突入。4巻までが学習用で、5・6巻はいきなり中級の上くらいにレベルが跳ぶ不思議な曲集です。
2巻くらいまでは、見た目は『バイエル』くらいのまばらな音符で手が小さくても弾けるように書かれているのですが、調性やリズムがとても変わっていて従来の「音楽らしい音楽」「きれいでうっとりする音楽」ではないので好みが分かれるところです。
『バイエル』はベートーヴェンと同じくらいの時代に作られましたが、バルトークは最近の人だからね。
ですが、子供のうちから習うのなら、最初からこのようなへんてこな譜面に慣れ親しんでおくと、先々お得だと思います。
私の場合は、近現代の音楽が好きな人だからこの曲集がいいだろうと先生が考えたそうです。ドンピシャです。

毎回、おもしろいストーリーが思い浮かんできて超カンタンな譜面なのに演奏を楽しんでしまいます。
そんな中で、「ここで左手と右手が反行します」「ここからカノンになっています」「これはフリギア旋法です」「終止の直前にナポリの6度、来ましたー」などと文法的なことを見つけて、かつそれにきちんと対応するクセをつけるよう訓練中です。
弾くだけで頭がいっぱいになるレベルの曲では、いろいろ考えて演奏することが大変なので、あえてこのレベルで丁寧に、という趣旨なのです。
いちいち身構えなくても、自然にできるようになったらいっちょ前なんだが。
短くて音が少なくてヘンテコな曲なので、曲の美しさにごまかされずに文法を考えることができるんですよね。美しい曲だと、なんとなく盛り上げて歌った気になるというワナがある。

2巻に入ってからは全曲やらなくてもいいかな~となって、抜粋してレッスンしています。
1巻が終わった時、先生は「次どうしましょうねえ。いきなり6巻に行ってもいいかもしれない」ともおっしゃっていましたが、おもしろがってやっていることだしもう少しやってみることになったのでした。
4巻までは同じようなレベルでじっくり固める構成だから、大人はある程度やったらとばしてもいいかもしれません。

③上記の曲集で練習していることを「音楽らしい音楽」でも応用する

カバレフスキー作曲 『子供のための小曲集』

この人も近代人なので、ベトモツ時代やロマン派のようなオーソドックスな曲ではないのですが、さほど奇抜な曲ではありません。
初級でオーソドックスだと「ツマンネ」と思っちゃうからこれくらいでちょうどよいです。
『ブルクミュラー25の練習曲』と同じくらいのレベルと内容で、時代感だけが違うかな。
30曲入っていて、4曲まで先生が選んでレッスンし、最後に好きなのをやってこの本は卒業しましょうとなったのですが、好きなのが2曲あって選べなかったので両方みていただき、ようやく終わりました。
この先生とディスカッションしながら曲を作っていくのが楽しくてねえ。初級本なので一人でサクッと弾いて終わりでもいいんだけど、対話によってより深い世界が生まれるからもったいないんですよ。
先生はSFとか漫画とかに結構詳しいみたいで、説明抜きで通じる世界観が合うというのが大きい。西洋音楽をやっているのだから、キリスト教や神話や西洋史も最低限知らないと盛り上がらないし、好みや感じ方に相違点も多々ありますがそれがまた刺激的でおもしろい会話に発展する。文化的背景に共通項が多いのは大事だなと思います。

さて、子供曲での応用を卒業したのでいよいよブラームスをやっていくことになります。
結局、「好きなの選んでいいですよー」ってことで、晩年の4つの小曲集から私にも弾ける曲を番号順にやっていくことにしました。
『幻想曲集』(全7曲)
『3つの間奏曲』
『6つの小曲』
『4つの小曲』

全20曲中、速い曲を除いた10曲ほどを仕上げられたらいいな。
CDで聴きまくっているのですが、「ゆっくりの曲だから棒読みレベルなら難しくないし、細かくじっくり勉強できるだろう」と思っていざ弾いてみたら、とんでもなかった。
地味に込み入ったことをしている。
ピアノの達人だったブラームスは、若い頃は技術に走った派手な音楽を書いていたけれど、晩年になって俺ももうじき死ぬんだなーなどと考えながら、作曲技術の粋を集めて枝葉を取り払ったように書いた曲は、別の意味で技巧的なのだった…。
しかしスローテンポの曲だからがんばればできる!と言い聞かせて、ゆっくり地道に譜読みをしています。
平日はあまり練習できないから中学生の頃のように1週間でソナタ1楽章読んでしまうようなペースではできません。まあ大人のレッスンなので、途中までしかできていなくても大丈夫です。
地道に確実に!どれも好きな曲なので飽きずにできると思います。

2017年10月22日 (日)

ロマン派への入口

子供用の教材でピアノレッスンを続けて1年半。
発表会の曲だけは大人仕様でしたが、教本も曲集も子供のために書かれたものしか使ってきませんでした。
余裕で弾ける曲を深く掘り下げる練習でとても充実していましたが、発表会が終わったのを機に、そろそろ違うことをやりましょうということになりました。
基礎の叩き直しから次の段階に進むことになったんですね!
とはいえ基礎も中度・高度のことが待っているので引き続きやっていきますが、経験者の大人ならではの曲で応用力をつけていくのかな?と思います。

残っている子供曲集を11月半ばくらいまではやるので、それまでに次の課題曲集を決めるということで選ぶ材料を尋ねられました。
「作曲家や具体的な曲などご希望はありますか?」
「未踏の地であるロマン派をそろそろ…」
「お!私も絶対ロマン派がいいんじゃないかなあと思っていたんですよ!でも、ロマン派には興味ないとちょいちょい表明していたからなあ…どうかなあって。やー、よかったです!」
「昔習ったベトモツのソナタを一からやり直しという線もちらっとよぎったのですが、今はまだそんなに乗り気ではないなあ…まあそのうちに…という感じです」
「なんと!私もまったく同じことを考えていました。いつか必ずそういう(ベトモツ)気分が訪れるのでそしたらやりましょ~」と盛り上がりました。
で、ロマン派の誰にする何にするでひとしきり固有名詞が飛び交って、シューマンかブラームスかまで絞ったところで話の続きは翌週へ持ち越し。

ロマン派で中級ならまずシューベルトとかなんですけど、シューのピアノ曲には萌えないので選択肢に入らなかった(何度も言うが、シューの良さは歌と弦楽にある)。
シューベルトの「楽興の時」第2番は中級の代表選手↓

ショパンは聴く分にはいいが特に弾きたいものではない。

シューマンはお互いに具体的な曲名がばんばん出てきたけれどどうかな。
先生が「クライスレリアーナとか!」なんておっしゃるので
「いやいやいやいや!難しすぎます!」
「それはまあ難しいですけど」
「クライスレリアーナでシューマンに興味を持ったくらいで憧れの曲ですけど現世では無理だと思ってますー」
「えー、できますよ~」
「うっそーん」
「いけますって~」
「8曲の中には速すぎないのもありますが…」
などと夢のような会話もありましたが、ロマン派への入り口に持ってくる曲ではないわいな。でもいずれ中の何曲かはできるかもと希望は芽生えました。

あと、ブラームスの話では
「ワルツ集はよく弾かれているのでちょっと見てみたことがありますけれど、弾くのがしんどいなという印象でして」
「あら、あれは弾き易いですよ!(先生の目がきら~ん☆)」
というやりとりも。ブラームスのピアノ曲は中級の上くらいからで気軽に手を出すようなものではないと思っている中で、唯一ポピュラーかつ手を出し易いのがワルツ集なんですよ。
でも、左手がブンチャッチャの伴奏になっている3拍子の曲がどうも好きじゃなくて…近代以降の3拍子曲はブンチャッチャぜずにワルツに仕立てているので、弾いていてすごく楽しく乗れるのですけども。
ブラームスなら間奏曲(インテルメッツォ)や奇想曲(カプリッチョ)がいいなあ。1曲1曲が短いし。

そして翌週、シューマンとブラームスどちらがいいですか?とストレートな質問があったので、ブラームス!と即答し、選曲はおまかせすることになりました。
さて何が来るでしょう。わくわく。

2017年10月 9日 (月)

緊張経験を積む

ヴァイオリン(とピアノ)の教室は、祝日はレッスンがお休みで、その日には先生のお宅で小さなイベントをすることがあります。室内楽の軽いレッスンや、千円ほどの会費でのミニ発表会などです。
今日はミニ発表会が企画されたので久しぶりに参加してきました。
人前で演奏することに慣れようという趣旨なので、このために特別に曲を練習してくるわけではなく、普段のレッスンで練習中の曲の途中経過を聞かせる人が多いです。
今回は先月の発表会で弾いた曲をもう一度おさらいする人がほとんどで、私もその中で一番好きな1曲を選びました。4歳から8歳の小さいお友達も4人参加したので、2曲は飽きるかもと思って1曲に。

本番(?)のあとは懇親会。そっちがメインという説もある。
子供たち同士は、発表会でちらっと挨拶したくらいのほぼ初対面だそうですが、あっという間に仲良くなって遊びまくっていました。
お母さんがたも、このスクール内でのママ友ができてとても嬉しそう。どうやって練習させるかなど情報交換もされていましたし、ご自身も音楽が大好きなので大人の生徒と一緒に盛り上がりました。お子さんたちが一人で練習できるくらい大きくなったらご自分もヴァイオリンを習う予定だそうです!いいなあ家庭内室内楽。

それにしても、言うまでもないが子供さんは入門クラスでも大人とは全然違うっす。
まだ曲らしい曲まで到達していなくても、音程は大人ほど狂わないし、なんといっても体全体の使い方がとても自然で、躊躇なく弓を弦に命中させるんですよねえ。当てる強さもばっちり。音階や調なんかも、理屈ではなく感覚で体得してしまうでしょうし、大人たちは「まいったなあ」の連発でした。
この分なら高学年になったらいっぱしのヴァイオリニストですよ。
先生が「最近、男性のイベント参加率が上がって喜ばしい!」と喜んでおられて、今回は新メンバーの若い男性がさっそくの参加。こういう習い事は女性の方がどうしても多くなってしまうけれど、気後れせずにどんどん来てくれると多様性の面でもいいことですよね。

このミニ発表会はリビングで行うので、最大20人くらい参加できるのですが(演奏せずに聴くだけの参加は不可)、それはヴァイオリンやヴィオラの場合で…私の番になると、ピアノのある狭いレッスン室に移動してぎゅうぎゅうに詰め込まれることになります。
去年も1度参加して様子はわかっていたのですが、あのときの参加者は8人だったから…それでも結構ぎっしりだった。
今回は、大人は半分以上が立ち見となり、子供たちは床にぺたんと座って、もうピアノ椅子のふもとまで人が押し寄せている状態で、じーっと見ているわけです。皆さんが立ち位置を決めたとき笑いが起きてしまいましたよ。あまりにも近すぎるから。人前で演奏する経験にもほどがある(笑)。
これまでの人生で一番緊張したかもしれない。前半はまだ「落ち着けー落ち着けー」と唱えながら弾いていて幾分マシだったけれど、半分過ぎたあたりから効き目が切れてド緊張が始まり、エンディングが近づくにつれ手がふるえてくる始末。
終わってお辞儀をしてから、震えまくる手を見せて爆笑をとりました。
でもなんとか落ちずに弾き切れたのは良い経験になったと思います。
それに、終止部分は会心の出来となり、自分の中で「おお!」と思ったのと同時に大人たちから「おお~」とため息がもれたのも良かったです。曲の中でもこの部分は本当に好きで、聴く人みんなに「すごくいい曲!」と思ってもらいたい(好みもあるけど…)ので、嬉しい。
さらに、この会では、一人が演奏を終えるたびに全員が「よかったところ」を書いて(無記名)渡すので、失敗しちゃったと思っても元気づけられるんです。どれもニヤニヤと嬉しいものでしたが、中でも子供の字で「とてもいい曲だったので、もう1回聴きたいです」と書いてあったのが明日への糧になりました。
先生からは、発表会のときの演奏よりも今日の方が良かったと言っていただけたのが何よりのごちそう。この曲はまだ毎日練習しているからね。

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