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2017年7月

2017年7月23日 (日)

古楽の発表会

今年も古楽の発表会が無事に終了しました。
過去2回のような大人数でのバラエティに富んだ編成は望むべくもありませんでしたが、参加者が少ないなら少ないなりの楽しさがあり、どのような条件でも毎年開催することが大事だなとしみじみ思いました。
発表会には、すぐ思いつくだけでも次のような効能があります。
★期日までに何がなんでもどうにかしなくてはならないという縛りが「何か」を達成させる。
★自分では演奏方法をよく知らない楽器を間近に聴いて、普段とは違う方向からの刺激を受ける。
★古楽の場合は仲間の選んだ曲はたいてい初めて聴く曲なので新しい知見が得られる。

さて今年はチェンバロ単独の発表会で、しかも生徒の参加が4人だけ。
例によってソロ曲の他に、旋律楽器のゲストを迎えての通奏低音もやりました。
今回のゲストはアマチュアの笛吹きさん3人で、全員がここの発表会には初登場でした。お2人がフラウト・トラヴェルソ(フルートの祖先。木製の横笛でちょっと太め)、私の相手をしてくださったのはリコーダーを演奏するかたでした。皆さんとてもお上手で、古楽好きの裾野は広いなーと改めて思いましたよ。
それぞれの楽器も見せていただいて、細かいところの細工にうなりました。
手入れや保持に一手間・一工夫が要るところも古楽器ならでは。
高校時代に吹奏楽部で目にしていた楽器は規格が揃っていて(とはいえ微妙な差異があるので、吹き比べて選ぶ人もいるのですけど)、古楽器ほどには個性的ではありませんでしたから、木工芸術品のような笛たちは見るだけでも心躍りますね。
他にこの場に出席していたのは3人だけで、先生と、先生の仕事の場にいつもおられる調律師氏(チェンバロ製作者でもある)、若きフルート奏者(今回の出演生徒の中の本業ピアニストさんの演奏仲間で、古楽に興味を持ち始めた気配。今回は下見かしら。次回は参加されるかも?)。
当初、いつものように客席にお友達を呼んでも大丈夫ということだったのですが、会場の狭さからなんとなくどなたも声をかけなかったようで、特に示し合わせたわけでもないのに結果的にクローズドの会となったのでした。私は最初に一応日程だけアナウンスしてみたのですが、反応がなかったのでダメ押しの案内はせずに流してしまいました。
でもこれでよかったみたい。ぎっちり椅子を並べれば20人くらい座れるのですが、出演者が出たり入ったり結構忙しかったので、椅子をゆったり置いてこれでちょうどよかったです。スペースに余裕ができたのでチェンバロを大胆に斜めに置いたら音響も良くなったし(四方八方に丸く音が飛ぶ)。
演奏者が少ない分、笛のゲストたちも、チェンバロの生徒に付き合うだけでなく、自分の好きな曲を先生のチェンバロと共に演奏することができる特典つきとなり、これも小規模ゆえのよい点だったなと思います。

今年は、発表会の概要が出てから本番までが短かったうえに、さあ決まったぞという頃に突如職場の異動があって練習どころではない1ヶ月がはさまってしまったので、例年にも増してハードでした。
相手のあることなので通奏低音に時間を使うことにして、ソロ曲の方はほとんどぶっつけに近かった…割には発見が多くて得るものは多かったです。出来はともかくとして。
7月に入ったくらいの頃は「出るなんて言わなければよかったかもなー」とくじけそうになりましたが、やっぱりやってよかった。

会場は最近できたスタジオを利用しました。
完全に個人のお宅で、半地下を改装した小さなスタジオなのです。
玄関チャイムを押し、お家の人が出向えてくれて靴を脱いでスリッパを履いて…リビングを横目に階段を下りるのですが、まったくもって一般家屋!思わず「お邪魔します」と言ってしまいますよ。
ただ、音響も防音もしっかりしていて本格的でした。
勉強中やデビューしたての音楽家の応援や、小さいスペースが適しているジャンルの音楽のために主に使われていて、趣味が高じてやっちまいましたという感じのご夫婦(かな?)でしたけど(特に、男性は部屋着だったので、日曜に仲良しの叔父宅を訪問した感覚しかない…用があるときは階段に向かって大声で呼んでくれとか言うし)行動力に感服しました。
弾きこまれて柔らかい音になったというちょっと古めのスタインウェイの小さめグランドピアノと、後期フレンチ仕様の2段チェンバロがあります。
チェンバロの方は最近、海外に行くことになった演奏家が有効利用してくださいと置いていったそうで(帰国するまで預ける感じかも)とてもコンディションの良い楽器でした。

閉会後はぞろぞろと移動して居酒屋に腰を落ち着け、マニア話から世間話まで盛り上がりました。
2テーブルに収まり、たいして分断されることもなく一体感のある打ち上げになったのは少人数の利点だったなあ。
発表会自体もおもしろくてためになったけれど、ばか話で打ち解けて更なる充実感!
唯一の「お客さん」となった若きフルート奏者さんは古楽を意識して聴いたのが初めてだそうで、とても興奮していました。クローズドなんてもったいない、もっと大勢に聴いてもらうべきだと何度も力説していました。でも聴くだけではなく絶対やりたくなっただろうと思いますよ。ほれほれ、もう底なし沼に片足つっこんじゃってますよ。
皆さんもそれぞれに満ち足りたご様子で、来年も絶対にやりましょうと誓って散会しました。
来年はガンバ組と合同でできるかなあ。うち一人とは古楽のコンサート会場でよく顔を合わせるのですが、他の皆さんのことも懐かしくなってきました。

2017年7月14日 (金)

新日本フィル定期:フランス特集

@すみだトリフォニーホール

今日は、プロレスではない方の《新日》。
新日本フィルを生で聴くのは初めて。このチケットを買った理由は、頻繁には演奏されないフランス曲が並んでいたからです。フランス近代となると目の色が変わるのだ。
指揮は秋山和慶さん。いつまでもお元気で活躍されたし。

プログラム1曲目は、ジャック・イベールの『寄港地』。
ローマを出発して地中海沿いに3つの国に立ち寄る、ロードムービー的なわくわくする曲。イタリア編は60年代のイタリア映画を思わせる、ゴージャスな中に懐かしさ漂うもので、素敵な響きに包まれました。
第2楽章はチュニジアで、アフリカのリズムとアラブ風の旋律(オーボエ・ソロ)の取り入れ方がおもしろかった。
最後に(第3楽章)スペインに上陸して華やかに盛り上がってスッキリと終わりました。
イベールは、いわゆるフランス印象派の流れから出発したけれど、途中から別の方向に行った作曲家です。この曲はその別方向に転換した後のもので、フランスらしく感じられる洒落た音楽ではありますが、商業的なにおい(映画など)がするところが新時代だなと思います。

2曲目はサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番。「エジプト風」という副題で知られる、今日の中ではまあまあ演奏機会のある部類の曲。
私、この曲はアルド・チッコリーニの演奏を超えるものがないぞと思っていて、それでも期待半分で出かけていくのであります。
今日のソリストはフランスが誇るピアニスト、パスカル・ロジェだったので期待していいかもと思ったのだけど、まあそうでもなかった…。いや年とりましたねロジェさん(外見も、面影を探したが別人のようだった)。ピアノ独奏曲や、室内楽ならまだまだ個性的かつ美しい音で活躍できると思うけれど、こういうのはそろそろあかんかもしれぬ…。
第1楽章はオケは結構よかったと思うのだけど、ピアノが少し「??」。第2楽章はオケもピアノも良かった!これはここで聴けて実に良かった!一期一会の出会いって感じでした。第3楽章は途中までちょこちょこピアノが不安になってしまったが、最後の「まくる」ところから、火事場のバカ力が発動したかライブならではのノリか、妙な一体感でオケとピアノが爆発して大団円!まあ終わりよければすべてよしって言いますな。奇跡的なエンディングとして私の記憶に刻まれた。うむ。

ソリストのアンコールがありまして、サティの「ジムノペディ第1番」を弾いたのですけど、ほらーこういう曲は今でも冴えた腕前じゃないですかロジェ。
一つ一つの音に意味が宿る。そして全体の印象もきちんと聴かせる。

休憩後の3曲目はショーソンの交響曲(1曲しか書いていないので番号なし)。
この人も「フランスの近代の人」と思っているとあれ?となりますね。
すごく北米大陸を感じる。それも西部の方。東じゃないな。
心情的にはドイツロマン派に近く、一番影響を受けたのはワーグナーという、どこがフランスやねんな人だけれど、そこまでゴリゴリにドイツみは感じなくて(脱しようと努力はしていたらしい)、新世界アメリカに近い音楽だと思ったなあ。同じくらいの時代にフランスに生まれ育っても人生いろいろ。
そうそう、一番「へええ」と思った点は、打楽器がティンパニしか出てこないことでした。ねえ。この時代にねえ。だから、ロマン派どころではない、古風というか大時代というか、古典派の響きもところどころ顔を出すんですよ。全体は近代の鳴り方なので本当にところどころですけど。低弦と一緒にティンパニがドコドコ…と鳴るのってベトモツ・ワールドじゃないですか。

いいプログラムだったなあ。3曲とも異国を旅するフランス人(しかも船旅に限る)という物語で統一されていて、とても楽しかったです。

2017年7月 4日 (火)

ハーゲン四重奏団

ハーゲン四重奏団  @トッパンホール

今日はこのかっちょいい弦楽四重奏団のコンサートでした。

Photo

(写真↑は最新CDのジャケットで、このコンサートのチラシではありません)

彼らは東京のトッパンホールをとても気に入っていて、アジアでのホームグラウンドとまで言っているのが嬉しい。
きのう・今日・明日の3日間で、ショスタコーヴィチとシューベルトのセットを3種類聴かせるプログラムでした。
私、タコは大好きだけどシューは好きな曲があまりなくて(特にピアノ曲において)、でも「死と乙女」は別格に好きだ。
というわけで、「死と乙女」をやる今日、行ってきました。
ちなみに、きのうはタコ3とシュー13(ロザムンデ)。今日はタコ・シュー共に14番、明日はタコ・シュー共に15番という組み合わせです。晩年の作品を並べた、たいへん意欲的なメニューですね。
このハーゲン四重奏団って、もっと年をとって円熟の境地に突入というには早いし、いろいろ実験してみたい若気の至りはとうに過ぎているし、ある意味「無敵のお年頃」なのではないか。テクニックは言うまでもないが、経験と余裕&まだまだ攻める勢いをまとっていて、360度全方向どんと来い態勢。妙に音大生っぽいお客さんが多かったのもむべなるかな。

さて、前半はタコ。
激しい弓づかいや不協和音は、この作曲家にしては比較的控えめで、美しい旋律もたくさん出てくる曲。切り替えがきりっとしていて気持ちよい演奏。美しい旋律部分をすごくロマンチックにしていたのが印象的でした。うーむ、15番も聴きたくなっちゃったけど明日は行けないや。録音が発売されたら聴こう。

休憩後は待ってましたの「死と乙女」。
オリジナルの弦楽四重奏版よりも、マーラーがアレンジした弦楽合奏版のCDを良く聴くので、この編成はなんだか久しぶりで新鮮でした。合奏では人数が多くて音の厚みが出ていたのが、オリジナルではそういえばこうだったのねーと。
冒頭の激しいところと、それを少し変えて何度も繰り返すところの緊張感、迫力!ちょっとボタンを掛け違っただけでもう台無しですよねー…ハーゲンさんたち(4人きょうだいで結成され、現在は1人交代して3ハーゲン&1他人)はちょっとした間を特徴的に演奏し、独特の効果が出ていました。4人だけだからこの間がいいんだな…弦楽合奏ではやらないほうがいいな。
私の中には弦楽合奏の方がデフォルトで入ってしまっているので(逆だろう普通)、比べることで4人だけのアンサンブルがとても感動的に思えたし、こんなふうに書いたシューベルトすごいわと尊敬の念がフツフツと。今更か。しかしシューベルトのピアノ独奏曲を習いたいとは決して思わないのであった。シューベルトで良いのは弦と歌だよねえ。

ずっしりの後のアンコールはハイドンの弦楽四重奏曲のどれだったか(多すぎ)から緩徐楽章。デザートがシャーベットでしたという感じでよかったです~。

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